統合失調症とは
統合失調症は、精神疾患の一つであり、現実感覚や思考、感情、行動に影響を与える病気です。
症状としては「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の大きく3つに分けられます。
各症状の内容は以下の通りです。
陽性症状
妄想
「テレビで自分のことが話題になっている」「ずっと監視されている」など、実際にはないことを強く確信する。
幻覚
周りに誰もいないのに命令する声や悪口が聞こえたり(幻聴)、ないはずのものが見えたり(幻視)して、それを現実的な感覚として知覚する。
思考障害
思考が混乱し、考え方に一貫性がなくなる。会話に脈絡がなくなり、何を話しているのかわからなくなることもある。
陰性症状
感情の平板化(感情鈍麻)
喜怒哀楽の表現が乏しくなり、他者の感情表現に共感することも少なくなる。
思考の貧困
会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解できなかったりする。
意欲の欠如
自発的に何かを行おうとする意欲がなくなってしまう。また、いったん始めた行動を続けるのが難しくなる。
自閉(社会的引きこもり)
自分の世界に閉じこもり、他者とのコミュニケーションをとらなくなる。
認知機能障害
記憶力の低下
物事を覚えるのに時間がかかるようになる。
注意・集中力の低下
目の前の仕事や勉強に集中したり、考えをまとめたりすることができなくなる。
判断力の低下
物事に優先順位をつけてやるべきことを判断したり、計画を立てたりすることができなくなる。
統合失調症の原因はまだはっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスがくずれることが関係しているのではないかといわれています。また、大きなストレスがかかることなども関係あるようです。
約100人に1人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。
障害年金とは
「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が支給される制度です。
障害者のための特別な手当と勘違いされている方がいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
つまり、障害年金をもらえるのに申請をしていない方は65歳に達しても老齢年金を受け取っていないのと同じ状態ということになります。
もちろん統合失調症も障害年金の対象傷病ですので、障害年金の受給資格のある方は必ず申請するようにしましょう。
障害年金を受給する際のポイント
障害年金を受給するためには以下の要件を満たしている必要があります。
初診日・認定日要件
初診日とは「障害年金を請求する傷病で症状が出て初めて病院等の医療機関で受診した日」を指します。
ここでは統合失調症の症状が出始めてから最初に病院にかかった日となります。
ですが、頭痛や不眠といった初期症状で病院にかかり、その際に統合失調症と診断されなかったとしても後から因果関係が認められれば初期症状の際に病院にかかった日が「初診日」となります。
そしてこの初診日から原則1年6か月が経過した日が「障害認定日」とされ、この認定日を迎えないと障害年金を請求できません。
統合失調症の疑いがあり病院にかかっていない場合は速やかに病院等で受診することをお勧めします。
一方で初診日から1年6か月以上経過している場合は障害年金の請求ができます。
しかし、認定日を迎えてから5年以上経ってしまった場合は過去5年を超える分の障害年金の権利が時効によりなくなってしまいます。
請求から受給までには早くて3か月、遅れてしまうと半年、1年とかかってしまう場合がありますので認定日を迎えた場合は早めに請求を行う方が良いでしょう。
保険料納付要件
障害年金を請求する際には一定期間保険料を納めていることが必要です。
初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間・保険料免除期間が合わせて3分の2以上あることが保険料納付要件の原則です。
しかし、特例として保険料納付要件は基準日の属する月の前々月から遡って1年間、年金の未納がなければ要件を満たしています。
保険料をきちんと納付しているかは年金事務所や市町村役場に問い合わせることで確認ができます。
障害状態該当要件
障害年金を受給するためには一定の障害状態にあることが必要です。
大まかな目安は以下の通りです。
1級 寝たきりの方など
2級 ベッド周辺での行動はできるが、外出ができず、行動範囲が自宅に限られてしまう方など
3級 働くことはできるが、フルタイム・週に5日の勤務が厳しい方や、軽作業のみを任せてもらっているなど会社から特別な配慮をされている方、仕事が長続きせず、就職・退職を繰り返している方など
※3級は厚生年金に加入している方のみ対象となります。
統合失調症の方が障害年金を申請する際の注意点
『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』
統合失調症で障害年金を申請する場合には日常生活能力(1)~(7)について確認することが『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』で定められています。
1人暮らしをするとしたら可能かどうかで「できる」~「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」の現在の状態を確認してください。
(1)できる
(2)自発的にできるが、時には助言や指導を必要とする
(3)自発的かつ適正に行うことはできないが、助言や指導があればできる
(4)助言や指導をしてもできない若しくは行わない
(1) 適切な食事
・・・配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。
(2) 身辺の清潔保持
・・・洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができるなど。
(3) 金銭管理と買い物
・・・金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。
(4) 通院と服薬(要・不要)
・・・規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるなど。
(5) 他人との意思伝達及び対人関係
・・・他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。
(6) 身辺の安全保持及び危機対応
・・・事故の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるなど。
(7) 社会性
・・・銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また社会生活に必要な手続きが行えるなど。
詳しくは当事務所にご相談ください。
生活状況を診断書に反映されているか確認しましょう
障害年金の申請には診断書が非常に重要となってきます。
障害年金を受給できるか、できないかの9割が診断書で決まるといっても過言ではありません。ですが、医師は病院で受診をした際の状況で症状の状態を判断しているため、普段の生活状況を加味して診断書を書くことが非常に困難です。
また、統合失調症などの精神疾患の場合には比較的体調の良い時に病院に行く傾向があるため、実際の状態よりも軽い症状として診断書を書かれてしまう場合があります。
実際にご相談を受けた中には本人の依頼だけだと障害状態が該当しないということで診断書の作成を断られてしまったのですが、普段の生活状況を反映した書類を添付して再度依頼をしたところ、診断書を書いていただけたという事例もございました。
診断書を書いてもらう際にはご自身の普段の生活状況など、医師から見えない範囲の生活状況も適切に反映されているかを確認しましょう。
無料相談受付中
当事務所では障害年金についてのご相談を無料で受け付けております。
障害年金について詳しい説明が聞きたい・障害年金の申請方法がわからない・受給資格は満たしていそうだが、体調が悪く申請が難しい…といったお悩みをお持ちの方は是非一度ご相談ください。